『うん、待っててね。じゃ、おやすみシバ。今日はありがとう……チュッ』

 サキは例のごとくキスの余韻を残して消えていく。


 病気の告白を聞いてあげただけで、おれはなにもしてあげられなかったのに顔を見せてくれるなんて……。


 余計なことを話してないか確認するためにサキとの会話を保存してからすぐに再生してみる。


 画面にテープレコーダーのイラストが出て回転をはじめた。


 最初は兄とケンカしたサキをなんとか励まそうと、嘘を打ち込んでいくおれのチャットの文章がおかしかった。


 しかし、サキの告白を聞いてからどんどん彼女の存在が大きくなっていったのがわかる。