彼女の嘘と俺の嘘



 サキは説明しながら告白しようか葛藤している。


 しかし、おれには黙って聞いてやれることしかできない。


『完治は難しい病気です。私が泣き虫なのもこの病気のせい。今も薬を飲んでいます。その副作用で指が小刻みに震えるときがあるの。あ、大学の先生には言ってある。今年4ヶ月休学したから。先生も心配してくれて、応援してくれて、良い先生だなって感謝。こんな私、病名を聞いたらシバ驚いて離れていくよ。サキは真面目に告白しようと思っています』


 応援してくれる先生のことを思い出して勇気が出てきたのか、サキの言葉に幾分力強さが戻ってきた。


シバ> 病名を聞いてもおれはうろたえないよ

 おれの頭に真っ先に浮かんできた病名はガン。