彼女の嘘と俺の嘘



 パソコンはお兄さんが部品を買い集めて組み立てたもので、居間に置いてあり、家族で共有して使うことになっているらしい。


シバ> 近くにお兄さんがいるの?


『いないよ。ゴミ箱蹴って2階の自分の部屋に消えた』


シバ> 大丈夫?今日はやめようか?


『嫌だ。兄のことは気にしなくていいよ』


 サキの返事はうれしかった。


 自分のお兄さんを度外視しておれとの関係のほうを重視してくれている。


 よほど好かれているなとおれはうかれ気分になった。