彼女の嘘と俺の嘘



 おれはもともと「サキは……」と自分のことを一人称で呼ぶ女、それと自分のことを「天然」という女は信用しない。


 おれはパソコンの横に置いてある大学ノートに目をやる。


 しょうがないか……。


サキ> シバ寝ちゃったの?


 おれがチャットに反応しなくなって不安になったのか、サキが話しかけてくる。


シバ> ごめん。飲み物取りにいってた


サキ> ヒドイ!


シバ> 飲み物くらいいいじゃん


サキ> ダメ!