彼女の嘘と俺の嘘



 サキは「ふ~ん」とわざと面白くなさそうに反応して免許証を右手で受け取る。


「偽物じゃないよ」


「わかってる。はい、返したくないけど、返すね」


「思ったより元気そうでよかった」


「もう帰るつもり?」


「いや、サキがよければまだいるよ」


「ひとつやり残したことがあるの」


「やり残したこと?」