「言い方は悪いかもしれないけど、これまでサキを騙してこれたのは他のシバ達の善意からくるものだよ。みんな意識的じゃない優しさを持ってる。シバ達で個室をなんとか確保していたけど、他にもノートを見た人はいるはずで、悪戯や嫌がらせはなかったし、日本という国は捨てたもんじゃないよ」
「みんな私のためにチャットしてくれてたんだ。どうりで声を聞かせてくれないわけだよね」
サキは窓から注ぎ込む陽射しを浴びて幸せそうに笑った。
おれはずるくて詰まらない嘘をついてきたのに、サキの笑顔で一気に汚い心を洗い落としてくれた。
「もう嘘はつかないよ」
そう言ってサキに車の免許証を見せた。


