彼女の嘘と俺の嘘



 ホテルのようなエントランスと受付窓口は人流システムがうまく機能しているらしく、診察の手続きをする人、薬を受け取る人達からストレスは感じ取れない。


 ほどよい混み具合で落ち着いた雰囲気が病院内を包んでいた。


 病院の最寄り駅からサキにメールで“着いたよ”とだけ伝えている。


 サキからは“うん、待ってる”と返信が届いた。


 あとは会いにいくだけ。


 エレベーターで6階に着いたとき、心臓が破裂しそうなくらいドキドキした。


 微かに足が震え、床にちゃんと靴の踵が触れていないような感覚。


 まさに地に足が付いていなかった。