彼女の嘘と俺の嘘



 おれを除くシバ達は【全然構わないですよ】とか【任せてください】など好意的な返事をノートに書いた。


 善意の輪が強固なものになった瞬間だった。


 おれにはシバ1号の説明が全て後付けの言い訳に思えた。


 ノートには何度も砂消しのようなもので文字を書き直した跡があった。


 本当にシバ1号はサキのお兄さんなのだろうかと疑った。


 でも1番最初のページに“サキには誰にも言えない秘密があります”と書いてある。


 それは当たっていた。