彼女の嘘と俺の嘘



「B-56は空いてる?」

 おれと同じことを質問したその小太りな男は店員からすでに客が入っていることを聞かされると、肩を落としてB-56とは逆方向の個室へ向かった。


 シバ3号の書いたページにはお菓子の食べカスがよくついている。


 たぶんあれがシバ3号だろうとおれは確信した。


 個人的にはシバ1号の顔が見たかった。


 シバ1号はサキの家族の者だとまでは明かしたが、兄だと正体を白状したのはサキがケンカしたエピソードを話したあとだった。


【どうしてパソコンを使わせないなんて幼稚な意地悪をしたんだろう?】と、素朴な疑問をノートに書いたら、シバ1号が回答してくれた。