「クス……」



渚遠はそれを拾い上げ、笑う。そこに映っていたのは、まだ保育園ぐらいの鈴と、小学校六年の渚遠だった。



その隣に中学生の倖が、顔半分の状態で映っている。



写真は、渚遠は嫌いで、これが初めて撮った鈴との最初で最後の写真かもしれない。



いつも、渚遠は持ち歩いていた。大切にして……



だから、少し古くなっている。それだけ時間が経っても、渚遠は忘れなかった。


引き剥がされても、毎日毎日写真だけで我慢していた。



探偵になったのも、鈴を守りたかったからだろう。
借金があることは、子供なりに知っていたから。



だから、親戚のオジサンに頼み、見習いとして雇ってもらって勉強をしていた。


少しでも、借金をしたヤクザに付いて調べもしていたし。