「大丈夫?」
人気のなくなった夕方の公園のベンチ。
わたしはまゆみさんの膝枕で横になっていた。
「すみません……アレもらっちゃって」
「いいのいいの。よかったわ。ちょうどわたしそろそろだったからバックにいれてたのよ~」
そう。
今朝からの身体の気だるさは“アノ日”のせいだったのだ。
でもこんなに予定日が早くなるなんて……。
まぁそれはそれとして。
「あの、もう、大丈夫ですから……」
さっきから膝枕が申し訳なくって身体を起こそうとするのだけれど、
「だ~め。薬は飲んだけどまだ痛いでしょう?」
そういって再びやわらかい膝の上に頭を戻される。
確かにまだお腹は痛いけれどこの状況は、ちょっぴり恥ずかしい。
夕飯時が近いせいか、公園に今誰もいないのが幸いだった。
「それに──」
ふと、まゆみさんの手がやさしくわたしの髪を撫でる。
「“アノ日”のせいだけじゃ、なさそうだしね」
「あ……」
まゆみさんはちょっと“ぬけて”いるようでいて、ときどきするどい。
「…………」
「…………」
けれどそれ以上問いかけてくる様子もなく、あやすようにわたしの頭に手を置いて、ゆっくりとゆっくりと撫でてくれた。
そんな無言のやさしさにわたしは腕で、瞳の奥に滑り込もうとする西の斜陽を遮らなければならなかった。
とはいえ、嗚咽をこらえる術を知らなかったから、結局はまゆみさんにバレていただろうけれど。
そしてわたしは、ぽつり、ぽつり、とこれまでのことを彼女に話したのだった。


