「わぁ! 見た目はバームクーヘンじゃないけど、スッゴい美味しそう!」
四角いダイス状にカットしたそれの断面は見事に幾重もの層が出来ていて、それだけで食欲をそそられる。
品の良い甘美な香りに脳みそがクラクラしちゃうよ~。
「さっきもいったように本当は1日寝かせた方が美味いんだけどな」
「でもでもでも、出来立てもスッゴい美味しそうだよ!」
「丸い形にしたい場合は卵焼きを作る要領で巻いては端に寄せて生地を流し、色がついたら巻いてまた生地を流しを繰り返せばいいぞ」
「なるほど~。でもこっちの方が失敗はなさそうですね」
熱心に出来上がりを携帯で撮影する八重ちゃん。
まゆみさんもしっかりとメモを……あれ?
「まゆみさん、どうしたんですか?」
メモ帳をじぃ、と凝視したまま動かない。
んん?
まゆみさんには難しかったのかな?
そこまででもないようにわたしは思ったんだけど。
すると、まゆみさんは手元を震わせながら、
「わ、わたしには無理だわ」
と、なぜか思い詰めた表情でつぶやいた。
え、そこまで?


