ゆっくりと坂を下る車。
視線を横に滑らせると見慣れた町並みがそこに広がっていて。
でもそれはあの頃とは少しずつ変わっている。
ミニチュアのようだった家々には所々大きなマンションが建った。
その間を縫うように走る線路は変わっていないけれど、自動改札に変わって久しい。
駅前の店もずいぶんと様変わりしたし、海も少し、狭くなった。
少しずつ、少しずつ変わっていく景色。
良くも悪くも変わらずにはいられないわたしたち。
時計の針が止まっても、時間は流れ続けていくように、立ち止まりたくても周りの景色は変化していく。
でも、今のわたしはこう思う。
──だからこそ未来は常に真新しい
と。
真新しいこそ、怖い。
けれど怖いと思うその裏っかわではどきどきと期待している自分もいる。
別れがあるのと同時に、出逢いがあることも知った。
歩いた分だけ、景色が変わることも知った。
どれだけ強い想いも、時間をかけて形を変えることも知った。
でもやっぱりずっとずっと奥の方では消えずに残っていることも知った。
色んなことを知った分だけ、自分が変わっていくのを感じた。
それがうれしくて、でもちょっぴり淋しいことも。
楽しみで、怖いことも。
たくさんのことを知り、感じ、思い、そうやって今の自分がある。
だからこそ経験した全てのことが、愛おしい。
「ねぇ、紗智ちゃん」
「ん?」
景色を眺めていたわたしに、ふと八重ちゃんが尋ねてくる。


