「本当に、日下さんには感謝しています」
「えぇっ!? なんですか、急に」
唐突に頭を下げられて驚くわたし。
先生はスッ、と顔を上げ、
「あなたが迷い、苦しみながらそれでも一生懸命に日々を歩んでいく姿があったからこそ、強く強く輝いていたからこそ、私はこの葉書がきたときすぐに逢いに行こうと思えたのです」
「そ、そんなわたしは……」
「いいえ。人はね、強い輝きを放つ人に引っ張られていくもの。当時の私はまだ暗澹(あんたん)としていました。けれどもあなたの光が、私をそこからすくい上げてくれたのですよ。あなた自身に自覚がなくとも、ね」
う、うぅん。
わたしは本当にそんな大したことなんてしてないんだけどな。
ただ、大切なものをひとつでも多く大切にしていきたいと思っていただけ。
もともとそんなに頭の回転がいいわけじゃないから、その分必死にならざるをえなかっただけのことなのだ。
でも、うん。
以前とは変わったこの先生の雰囲気がわたしのせいであるというなら、それは本当にうれしい。
光栄な話だよね。
「また、遊びにきます」
「えぇ、いつでも」
最後にもう一度頭を下げて、わたしは八重ちゃんの車に乗り込んだ。


