「人が輝くときってのはな“成長”してるときなのさ」
「成長?」
「そう。そして青春を謳歌(おうか)する時期ってのはこころだけじゃなく身体も成長してるだろう? だから長い人生の中で最も光り輝いて印象に残りやすいのさ」
信号が青に変わり、再び走り出す車。
「大人になると、輝けないんですか?」
八重ちゃんの質問に叔父さんはちらっ、と車の時計を確認して、
「もちろん、輝けるさ。でも」
「でも?」
さっきまでより少しスピードを落とし、滑るようにして走る。
おかげでそれぞれの声がよく聞こえた。
叔父さんがそうなるよう配慮をしてくれたのだろう。
「身体の成長が止まるとね、意識してこころを成長させないと人は輝けなくなっちまうのさ」
輝ける要素がひとつ減ってしまった大人は、だから在りし日の自分をどうしてもうらやましがってしまうのだと、叔父さんはいった。
「人は、良くも悪くも変化していく」
ルームミラーに映った叔父さんの瞳は、前を向いているのになぜだか遥か後方を見つめているかのよう。
「けれど年を重ねるごとにその“悪い変化”ばかりが“シミ”のようにこころにこびりついてね。変わることと成長することがイコールで結びつかなくなってくる」
それはわたしたちに教えているようでいて、でもまるで自分に問いかけているようにも聞こえる。
「だから今の内から変わることを怖れないで欲しい」
その言葉は、わたしたちに何かを“託して”いるのだと。
そう感じた。


