「わたし知ってるよ? 八重ちゃんがどれだけ亮平のために頑張ってきたか」
本当はずっと苦しかったはずなのに。
こころの中では、ずっと告白しようとしてたはずなのに。
今なら、今のわたしなら良くわかる。
「3人の関係をずっと守ってくれてたこと、わかってるよ?」
アプローチをしていながら決定的な言葉を口にしなかったのは、それがあったからだ。
わたしたちはお互いにお互いの関係を大切にしていて。
それが実は、ずっと“枷(かせ)”になっていたのだ。
でも、
「亮平はいったわ。変わらない関係がいいんじゃない。変わることを怖れない関係こそが、いいんだ、って……」
「紗智ちゃん……」
なら迷う必要なんてもうどこにもないはずだ。
迷ってる時間なんてないはずだ。
「いこう! 今ならまだ間に合うから!!」
「うん……うん!!」
もう弱気な瞳はどこにもなかった。
誰よりもおおらかで、やさしくて、そして誰よりも強いこころの八重ちゃんが立ち上がる。
そうこなくっちゃ。
クライマックスはこうでなくっちゃいけない。
「下で叔父さんが待ってるから急ごう!」
「あ、ちょっとまって!」
そういった彼女は部屋の中に戻るとキッチンからひとつの紙袋を持ってきた。
「それって……」
聞くまでもない。
きっと、ううん間違いなく八重ちゃんの“最終決戦兵器”だ。
「よし、いこう!」
「うん!!」


