「出発日和ねぇ……」
渡航当日。
空港行きの駅。
ホームの上の空は雲ひとつないくらいの晴天快晴。
肌を刺すような陽射しも今日はなんだか心地いい。
「まったく。ひとり息子がしばらく合わなくなるってのに、薄情だよなぁうちの親は」
旅行鞄の柄をとんとん、と指で叩きながらぶつくさという亮平。
「とかいいながら、昨日の夜は大変だったじゃない。おばさんなんてホント大泣きしちゃって」
「まぁなぁ」
出発前夜、亮平の家でうちの家族と一緒に食事をした。
最初は賑やかに出発を祝してたのだけれど、その途中うちのお母さんが、
「さみしくなるわねぇ……」
と、つぶやいたのがきっかけとなって、おばさんが淋しさからか、急に大泣きし始めたのだ。
慌ててなだめていたおじさんも、つられたのか目頭を押さえ、さらにそれにつられたうちのお母さんがおばさんと抱き合って泣き始め、
「紗智のおやじさんがいなかったらどうなってたことやら」
「あはは。でもお父さんも本当は泣きそうだったんだって」
でも他の皆が泣き始めちゃったものだから、その場をなんとかしなきゃって思って泣くに泣けなくなった、っていってた。
でも知ってるんだ。
実は亮平もあのとき、少し涙ぐんでたってこと。
本人は気付かれてないと思ってるみたいだけどね。
「ふふふ」
「なんだよ」
「な~んでも」
結局、亮平の両親は空港まで見送りにいくとまた大泣きして周りに大注目されちゃいけないからと、家の前までしか見送りをせず、その後はわたしたちに任せたのだ。


