「珈琲でも、飲もっかな」
亮平のプレゼントを片手に、キッチンへと降りる。
やかんに水をそそいで火にかけつつ、お気に入りの花柄カップを取り出す。
「あれ、インスタントしかないや」
仕方ない。
まぁ代わりにすぐに飲めるから良しということにしよう。
ほどなくして静まり返っていたキッチンにやかんの内っかわを景気よく叩く気泡の音が響き渡る。
火を落として気泡が落ち着いたところで、
「っと……」
お湯をカップにそそぎ、
「いち……」
魔法を、唱える。
「に……」
ゆっくり、
「さん……」
ゆっくりと。
「し……」
鼓動が合わさるようにと、
「ご……」
祈るように、
「ろく……」
願うように。
「しち……」
カップの中を覗き込む。
「はち……」
立ち昇る熱気が、
「きゅう……」
頬にあたって、
「じゅ……」
それに誘われるように──
「う、うぅ……」
──ほんの少しだけ、泣いた。


