「ま、まぁいい。じゃぁさっそくレシピを教えていくとしようか、八重ちゃん」
「はい」
「八重ちゃん、ファイト!」
力の限り声を張り上げたわたしを数人のお客さんが振り返ったけれど、気にしない。
「試食は任せてね!!」
「あはは。もちろんだよ~」
やった!
今日はなんて良い日なんだろう。
わたしは今からうきうきしながら、ふたりの作業をカウンター席に座って見守ることにした。
隣ではまゆみさんが何やらメモ帳を取り出している。
「草にぃに?」
そう訪ねると、
「あはっ。簡単そうだったら、ね。あんまり難しいと、ほら、わたし料理って得意な方じゃないから」
「うん。知ってる」
「うっ……。そうはっきりいわれるとお姉さん哀しいんですけど……」
「あはは。でも草にぃならよろこんでくれると思うよ」
なんだかんだでそういうところはやさしいのだ。
「うん。がんばるね」
軽くウィンクしたまゆみさんは「よしっ」と気合いを入れて叔父さんたちのやりとりを真剣にメモし始めた。


