それを口にすると、
『紗智ちゃんは私よりずっと近いところにいるもんね~。だからかもよ?』
なんてことをいわれた。
そんなものだろうか?
やっぱりよくわからない。
わたしってお子様なのだろうか?
「さて。じゃぁ今日はバームクーヘンの作り方を教えよう」
ん?
今、なんと?
「バームクーヘンって家で作れるものなの!?」
悩みなんてそっちのけ。
わたしはその至高の単語にドビビビビっ、と反応した。
あぁ、バームクーヘン。
それは魅惑のお菓子。
ほどよく甘く、しっとりとしていて、そして1番はその何層にも積み重なった生地。
それはこの世の歴史を表しているのか、それとも決して交わることのない悲劇の運命を重ねているのだろうか。
はたまた、遥か故郷のドナウ川を流れるいつかの丸太を思い描いて?
あぁ、バームクーヘン。
なんて素晴らしい響き……。
「バームクーヘンって家で作れるものなの!?」
「2回聞くほど好きなのか、紗智坊……」
「血液の源だから!」
「そ、そうか……」
あれ?
なんかおかしいこといった?


