「はぁ?」
満面の笑みでそんなことをいうものだからさすがのわたしもイラッ、ときた。
何をいい出すかと思えば、失敗も何もまったく同じことしたじゃない。
というか、違うことをしようがないじゃない。
そもそもこのくらいわたしも家でやることあるわよ!
まったくもっていいがかり以外の何者でもない。
「どうしてこんな意地悪──」
するの、といいかけたところで、
「もう1回やるからよ~っく、みとけよ」
こちらの怒りをあっさり無視してさっきと全く同じようにカップにお湯をそそぎ、今度は目を閉じる。
「…………」
「いや、だから」
「…………」
「カップあたためれば美味しい珈琲が出来ることくらい」
「…………」
「わたしだって知ってる──」
「ほい。魔法の成功~」
は?
またまた満面の笑みを浮かべてこちらを振り返る草にぃ。
意味がわかんない。
「もぅ! 何がしたい──」
「あせり」
ぽっ、と。
ゆっくりとお湯を捨てながらひとこと、口にする。
一瞬何といったのか理解できなくて動きが止まるわたしをよそに、流れるような、それでいて穏やかな動作で珈琲をそそぐ草にぃ。
ほどよくあたたまっているであろうそこに、褐色の液面が優雅に揺れた。
いつもの香りといつもの輝き。
「こいつは、な。気持ちに余裕を取り戻すための儀式なんだよ」


