ん~。
そりゃまぁカッコいいところはあるけれど、まゆみさんならもっと素敵な人とお付き合いできそうなものなのに……。
男女関係ってやっぱり不思議だ。
亮平にしたって──
「っはぁ~。やっと落ち着いたよ~」
乱れた髪を手グシで直しながら息をはく八重ちゃん。
「さ、て。薫おじさん、今日もお菓子の作り方教えて欲しいんですけど、いいですか~?」
「おう。構わんよ。あいかわらず勉強熱心だなぁ、八重ちゃんは」
「へへ~」
何を隠そう。
八重ちゃんがここで色んなメニューを教えてもらってる理由は、
「亮平くんも幸せ者よねぇ。八重ちゃんみたいなカワイイ子に手作り料理もらえるんだから」
そう。
なんと亮平に食べさせてやるためなのだ。
あの男のどこがいいのかいまだに謎だけれど、もうずいぶん前からこうやって八重ちゃんはアピールに余念がない。
1度真剣に聞いてみたことがある。
アイツのいったいどこがそんなにいいのか、って。
そしたら八重ちゃん、
『ん~。たくさんありすぎてひとことじゃいえないな~』
と、頬をこっちがみてて恥ずかしいくらい桃色に染めた。
いわゆるイケメンには見向きもしない八重ちゃんに限って外見ってことは、ない。
でもわたしにはその“たくさん”がこれっぽっちも思い付かない。
あっれ~?
同じだけ付き合いの長さがあるんだけどなぁ。


