「『10秒間待つ』って、ことですか?」
「お、さすが八重ちゃんだね。ご明察」
へ?
どういうこと?
「こいつはな、カップにお湯をそそいだ後“こころの中でゆっくりと10ほどカウントする”っていう魔法なのさ」
それって、お店とかちょっと凝ってる人がやるただの準備じゃない。
どうしてそれが魔法なの?
「おや、どうも納得がいってないみてぇだなぁ。じゃぁ紗智、おまえやってみ?」
は、はぁ。
正直付き合いきれないと思ったのだけれど、色々と相談に乗ってもらった手前、嫌ともいえず。
「こ、こう?」
「そうそう」
促されるまま、別のカップにお湯をそそぎ、しばし待つ。
「…………」
こころの中で「いち、に、さん……」と数えてから、
「はい。これでいい?」
きっちり「じゅう!」と最後まで声に出さずに数え終え、お湯を捨てた。
「お、やるねぇ。ぴったり10秒だぞ」
腕時計から顔を上げた草にぃはぱちぱち、と手を叩いてみせる。
なんだ、コレ。
「いったい何なの──」


