笑顔満開のわたしを腹立たしげに見た後「はぁ……」と深いため息をついた草にぃは、
「おまえらの気持ちもわからんでもないがな……」
再びキッチンに立って新しい珈琲を淹れ始める。
「留学するんだってな……あいつ」
「あ、聞いたんだ?」
「だいたいのところを、な」
まぁ知らない間柄というわけでもないし。
当然といえば当然か。
「で、あいつがここで何をしてたか、だが……」
今度こそ本題。
そう思うと不安が背中をかけあがっていったので、思わず隣の八重ちゃんの手を握る。
そして草にぃは──
「そいつは秘密だ」
この期に及んで?
そりゃないでしょう。
「そんなにまゆねぇにアレをばらされたいわけ?」
いい加減のらりくらりとされっぱなしでこっちはイライラが頂点に達してるっていうのに!
「どうしてそんなにかたくななの! それともそんなに後ろめたいこと──」
感情が抑えきれなくなって噴き出したその瞬間。
「だから焦るなってぇの。いっただろうが、答えだけをすぐに求めるな、て……」
眉をしかめる草にぃ。
それは、そうだけど。
でも……。
「話を聞いたんならわかるでしょう? わたしたちが今どういう気持ちか」
悪循環だということくらいわかってる。
でもだからって「はい、そうですか」といえるほど、わたしたちは大人なんかじゃない。


