びくんっ、と草にぃの肩が跳ね上がるのがうつむき加減の視界の上の方に入った。
凝視するまでもない。
この次に続く言葉で彼はみるみる内に青ざめ、そして確信と共に絶望というなの“鎌”を首に突きつけられることだろう。
「流しの上の戸棚の右手奥。まだ“1度足りとも使った形跡のない”それの中──」
「ちょっ、ちょっとまて! まさか、そんな馬鹿な!! どうしておまえが!?」
先ほどとは逆に、身を乗り出してわたしに言葉をぶつける草にぃ。
それは演技などでは、ない。
絶対的な確信。
だからこそ、わたしは追い討ちをかける。
「まゆねぇは……“アレ”を知ってるのかしらん?」
こちらが優位に立っているのは間違いない。
けれど見下ろす気には到底なれずにいた。
それほどの秘密だから。
「ひ、卑怯だぞ!」
「なんといわれようと結構。友好的な取引に誠意を表さなかったのはそっちだもの」
「え、え? 紗智ちゃんどういうこと?」
まるで暗号でやりとりをしているわたしたちを交互に見つめながら状況を把握しようと必死な八重ちゃん。
ごめんね、八重ちゃん。
コレばっかりはたとえ親友でも教えるわけにはいけないの。
「で、どうするの? 草にぃ。といっても選択肢はないけれど、ね」
「くっ……」
初めは睨み付けてきていた草にぃだったけれど、やがて力なく息をはくと、
「わーった。わーったよ! 話せばいいんだろ、話せば」
ようやく観念した。


