「あ、や、え~っと。と、トイレ掃除いってきま~す!」
あ、逃げた。
「ちょっと、まちなさい!」
がさがさと買い物袋を揺らしながら追いかけるまゆみさんからぴぅっ、と退散する草にぃ。
お手洗いに逃げ込むと同時に素早く鍵をかけた。
「まったく。毎度毎度失礼なヤツね」
カウンターの中に荷物を降ろし戻ってきたまゆみさんは、
「いらっしゃい紗智ちゃん。バイトの件、どうだった?」
と、微笑みながら聞いてから笑顔とVサインだけでそれに答えると「おめでと~」と心から祝福してくれた。
大学生のまゆみさん。
綺麗な栗色の髪は肩下くらいのロングで、なんというか向日葵みたいな人。
ちょっぴりおっちょこちょいというかドジというか天然なところがあって、なんというかあまり歳の差を感じない。
ドジといえば、さっきの草にぃのセリフ。
実はまゆみさん、バイトに入った当初はよく食器を落っことしてたのだ。
最高記録は1日15枚。
それでも叔父さんがクビにしなかったのは持ち前の明るさと、何より一生懸命な姿勢を買ったから。
それにキュートなまゆみさん目当てで来店するお客さんも増えたしね。
それにしても。
一見すると犬猿の仲の草にぃとまゆみさん。
意外や意外、付き合ってるというのだから驚きだ。


