裏手に回って大きなポリバケツにゴミを突っ込んだわたしは、
「八重ちゃん、こっそりと戻ろう」
彼女にそう提案した。
八重ちゃんも草にぃの様子に気付いていたらしく(まぁ気付かない方がおかしいけれど)、無言で頷くとふたりで忍足で表に回った。
(ん? あれって……)
店の角に身を隠しながら慎重に表を覗くと、
(亮平?)
もうずいぶんと向こうに遠ざかっていたけれど、間違いない。
あの後姿は、亮平だ。
「ちょっと草にぃ、どういうこと!?」
慌てて店に飛び込んでカフェ・オレの準備をしていたところをひっつかまえて問いただす。
ところが草にぃはあからさまに視線を逸らして、
「な、なんのことかなぁ~?」
と“しら”を切る始末。
「ネタはあがってるのよ! 吐きなさい! さぁ! さぁ!!」
問答無用の文字を背中にしょってべらんめい。
お天道様は誤魔化せてもこのわたしはそうはいかないんだから。
「亮平のやつ、何しにきてたの? しかもこそこそと!」
「うぇ!? み、みてたのか」
カフェ・オレがオレ・カフェになるくらいミルクをだばだば。
「店の角からこっそり覗いたら帰ってくところがみえたのよ!」
「の、覗きはいかんなぁ紗智くん──」
「だまらっしゃい!」
「ま、まぁまぁ紗智ちゃん。お客様もいることだし、もちょっと穏便に、ね?」
いわれて振り返ると目をサニーサイドアップにした数名のお客さん。
あらやだ、ワタクシとしたことがはしたない。
「こ、こほん。失礼致しました」
深々と頭を下げて、
「──で?」
振り返りざま草にぃの服をつかんで引き寄せる。
逃がすものですか。


