わたしもたくさん悩んで、自分の選んだことに何度となく後悔をしたけれど。
どれが正解なのか、間違いなのかをやみくもに探しまわったけれど。
罪だなんだとしり込みしたり、亮平の決断に感情が爆発したりもしたけれど。
結局大切なのは、それらの出来事の中で自分が出来る精一杯のことをするということ。
それが、“1番ここちいい”ってことに気付いた。
でもそれは決してひとりで気付けたものなんかじゃない。
皆がいてくれたから。
ひとつひとつの言葉があったから。
八重ちゃんがいてくれたから。
だから今度はわたしが彼女に言葉を届けたい。
届けなきゃ。
「八重ちゃん」
「うん?」
まつげを濡らして、ちょっぴり鼻が赤くなっちゃってる彼女は、やっぱりそれでも可愛らしい。
ホント、わたしが男なら1秒たりとも放っておかないだろうな。
でも今は女同士で、しかも同じ男の子が好きな者同士。
だからあのときと同じ言葉をもう一度。
「八重ちゃんは亮平が好き?」
肩に手を置き、正面から瞳を見据えて尋ねる。
すると彼女は前と同じように一瞬大きく目を見開いてから、潤む瞳のまま強い眼差しをわたしに向け、
「うんっ、好き!」
少し震えていたけれど、力強い口調で答えた。
だからわたしももう一度、揺るぎない気持ちでそれに応える。
「うん。わたしも好き。八重ちゃんに負けないくらい、好き」
そして、今度はもうひとつ、言葉を付け加える。
「ライバルに元気がないと、張り合いがないよ?」
ぱちっ、とウインク。
すると八重ちゃんはようやく、
「恋愛ってスポーツみたいだね」
そういってくすりっ、と笑った。


