「この前は、ごめんね?」
まだばつの悪いわたしは視線を合わせられないまま、彼女に謝った。
たぶん、彼女はあの日の別れ際に、わたしにもカレに告白する意志を見せて欲しかったんだと思う。
だってわたしたちはそのために、互いを傷つけてしまうかもしれないことを承知で、誓いを立てたのだから。
なのにわたしはカレがいなくなることにあっさり意気消沈なんかして。
そりゃ八重ちゃんでなくっても怒って当たり前だ。
「わたしも、告白するから」
でもわたしも覚悟を決めた。
大切なものが壊れてしまうとしても。
ううん。
大切なものが壊れてしまうからこそ、精一杯のことをしなきゃいけない。
そう、気付いたから。
「……そ、か」
「?」
あれ?
「そう、だよね。紗智ちゃんだもん。すぐにまた走り出すってわかってたよ」
「う、うん……」
どうしたのだろう。
わたしが誓いを守る覚悟を告げても、彼女の表情はすぐれないまま。
「八重ちゃん?」
彼女の機嫌が悪い理由は、コレじゃない?
「わ、わたし他にまた何かやらかしちゃってる? ご、ごめん」
「え?」
あぁまたいつもの悪いクセが出ちゃってたようだ。
どうしてこうわたしってば周りが見えないんだろう。
とにかく、まずは原因を知らないと、と思い、
「あの、突っ走って八重ちゃんの機嫌、悪くしてるようならいって? ここで八重ちゃんと仲悪くなりたくない──」
両手をぎっちり合わせて平謝りを──
「ち、違うの!」
「ふぇ?」
カート上のカゴに頭を突っ込む勢いで下げたわたしの頭に降ってきた言葉。
違う?
どういうこと?


