目的地は御用達のスーパー。
といっても業務用スーパーね。
ん?
どう違うのかって?
そうねぇ。
簡潔にいうと“どれもこれもデカイ”ってところかしらん。
例えばお肉なら1kg単位だったり、料理酒や油なんかもリットルサイズが当たり前。
ちょっとしたアメリカン気分を味わえる。
それから業務用という名がつくだけあって、プラスチックのトレー(ミンチとかお惣菜なんかが入ってる容器ね)やコック帽、ペーパータオルから“肉のかたまり”までと、まさに何でもござれ。
一般的なスーパーよりもなぜだかわくわくしてしまうのはきっとわたしだけじゃないはずだ。
ただし今日は、
「…………」
「…………」
そのわくわく感は家でお留守番。
もくもくと頼まれた商品をカートに乗せたカゴに入れていくわたしたち。
ここは近隣に喫茶やお菓子屋が多いせいか、様々な料理用ハーブもそろってて何かと便利。
さすが店のキャッチコピーが『世界の台所!』というだけのことはある。
「っと、レモングラス、レモングラス……」
でもそれだけ食材が集まってると逆に目当てのモノが見つけにくかったりして。
と、
「ここ、あるよ。紗智ちゃん……」
不意に八重ちゃんが呼びかけてきて、
「あっ、うん!」
まさか彼女の方から話しかけてきてくれるとは思ってなかったわたしはちょっとびっくり。
「ありがと」
「うん……」
けれど八重ちゃんは商品をカゴに入れるだけで、そこから先を何か話す様子はない。
ううん。
せっかくきっかけをくれたのだ。
ここからはわたしが話しかけなくっちゃ。


