「ヒーロー?」
聞き返すわたしの言葉に頷きながら、ゆっくりとポーズをとく亮平。
「別に「守りたい」とかそういう大層なことじゃなくって。いざってときに前に立てるような男にね、なりたかった」
確かに、亮平はいつだってわたしたちが困ったときに颯爽と手を差し伸べてくれた。
それは何の気構えも感じさせないそよ風のように。
少し前までのわたしならそれが当たり前過ぎて気付かなかったけれど、今ならわかる。
気付けたから、わたしはカレが好きになったのだから。
「でも、いつの間にかそうじゃなくなってたんだよなぁ」
ふっ、とつくため息。
困ったような、恥じたような口許の歪み。
そうだろうか?
わたしはそんなことはないと思った。
隣を見ると八重ちゃんもまた、小首を傾げていぶかしげな表情を浮かべている。
けれども亮平はそんなわたしたちの表情を見て首を振ると、
「紗智──」
「え?」
不意に真剣な眼差しを向けられる。
いつもと違う、低いトーン。
胸の1番奥に響くような、そんな声。
男性特有の膨らんだ喉仏の動きに、どきりとする。
けれどそれ以上に、次の言葉はわたしを驚かせた。


