という文字が踊っていた。
ナニ、コレ。
ドウイウコト?
目から入ってくる文字情報を、頭が激しく拒絶する。
わかっているのに、わからないフリをしようとする。
心臓が胸を張り裂かんばかりの勢いで激しく脈打つ音が耳の奥で聴こえながらも、潮がいっせいに引いていくように血の気が、失せていく。
「あ、あ……」
何かをいおうとして、その端から息がこぼれ出しては言葉の前に声にもならない。
無意味に動く口。
それはまるで陸に打ち上げられた魚のよう。
(息……息が……)
あまりに急な衝撃のせいか、どうやって息を吸い込めばいいのかがわからなくなって、段々と苦しくなってくるわたし。
「紗智ちゃん! 大丈夫!?」
そんなわたしの様子に気が付いた八重ちゃんが慌てて背中をさする。
足に力が入らなくなってきてペタリ、と床に力なく座り込んだそのとき──
「紗、智?」
聞き覚えのあるその声に、シャツの胸元を苦しくて握りながら振り向くと、そこには、
「りょ、う、へい……」
目を見開いた亮平が立っていた。
「見たのか……」
その視線をわたしの腕の中にある封筒に向け、諦めたように呟く。
だからわたしは、わたしたちは、
「本気、なの?」
その“留学”という文字の意味を嫌でも理解させられてしまったのだった。


