玄関から一歩中に足を踏み入れると、見慣れた部屋模様から少しばかり変わってしまった景色が視界に入ってくる。
そういえばいつからだろう?
亮平の家に上がらなくなってしまったのは。
昔はよくお互いの家を行き来していて、2軒で1軒の家のようだったのに。
「亮平くんのおうちに上がるのも久しぶりだなぁ……。紗智ちゃんは?」
「わたしも。確か中学の初め頃まではきてたと思うけど……」
玄関脇の下駄箱の上には昔、金魚の水槽があったと思ったけれど、そこには今小さな観葉植物が飾られていた。
月日。
そのひとことを感じる、ほんの少しの変化。
考えてみれば、もうずっと前からわたしたちの関係は変わってないようでいて、ちょっとずつ変わっていたのかもしれない。
それはまるで、壁紙が気づかない内に色褪せていくように。
と、こんなところで感傷に浸っている場合じゃない。
「おじゃましま~す」
「おじゃまします」
内装や置かれているものは変わっていても、間取りが変わるわけじゃない。
わたしたちはなんとなく足音を忍ばせて2階の亮平の部屋へと向かった。
「さてさて……」
ドアノブを回し、いざ中へ。


