そんなわけで亮平宅。
インターホンを鳴らしても誰も出てこないところをみるとおばさんも留守のようだ。
「紗智ちゃん、どうする?」
「そうねぇ……」
わたしの部屋で待つという手もあるけれど、タイミングが遅くなって引きこもられたら意味がない。
よし。
「? なに、してるの?」
おもむろに玄関脇の“鉢”を次々に持ち上げ始めたわたし。
確か、この辺りに、
「あぁあった、あった」
そこには少し土のついた鍵。
今どき古風な隠し場所だよね。
「よし」
「よし、って。えぇっ!? いいの?」
「八重ちゃん……」
「は、はい」
両肩に手を置いて、わたしは毅然とした態度をもって彼女にいいきかせる。
「時に罪は罪によって購(あがな)われるものなのよ。今わたしたちが犯そうとしているソレは、神の手にだって邪魔なんて出来ないわ。そう。これはいわば人類の飽くなき欲求。魂の根源に刻み込まれた業なのよ」
「……結局、不法侵入だよね」
良い子はマネしちゃ駄目よ?
「さぁて、どんな弱味が本棚の奥にしまわれているか楽しみね~」
「い、いいのかなぁ……」
そういいつつも止めようとはしない八重ちゃん。
なんだかんだで手をあてた口元が微かに“ワクワク”としているのをわたしは見逃さない。
さぁ、いざ禁断の園へ。
あれ?
これって男の部屋の場合も使うんだっけ?
ま、いっか。


