この日のわたしは非常に不機嫌だった。
「おかしい……」
意を決して亮平と話をしようと思っていたのに、会えない。
朝の恒例もこの前からまったくないし、学校の休憩時間に亮平のクラスに押しかけても、いない。
同じクラスのコの話では登校はしているようだけれど、休み時間になると、そそくさと姿を消すのだそうな。
(わたし、さけられてる?)
昨日のこともあって、もしかすると機嫌を損ねたのかとも思ったけれど、それも変だ。
目の前にして無視するならわかるけど、いちいち休憩時間の度に姿を隠すなんて。
そんな“みみっちい”ことをするような男じゃない。
物心つく前からの付き合いだもの。
じゃぁなぜ?
しかも八重ちゃんも会えていないというからなお奇妙だ。
「わ、私があんなことしちゃったから、さけられてるのかなぁ……」
涙目ですがりついてくる八重ちゃんの頭を撫でながら、わたしはどうしたものかと頭を捻る。
なにせ一度決めたら即動かなければ気がすまない性分のわたし。
このまま指をくわえて偶然出くわすのを待つなんてのはごめんだ。
「上等じゃない」
もうすぐ放課後。
こうなったら強硬手段だ。
幸いにも下駄箱へはわたしたちのクラスの方が近い。
帰りのホームルームが終わった瞬間に飛び出せば先回りが出来るはずだ。
あまりにホームルームが長ければ、トイレだかなんだかで理由をつけて脱け出せばいい。
「このわたしをさけようなんて、こんぺいとうにコンデンスミルクをかけるより甘いわ」
やった試しはないけれどね。


