それにしても。
「どうしてその流れで告白しなかったの?」
素朴な疑問を投げかけてみる。
だって、よくある話ならその勢いでいっちゃいそうなものじゃない?
すると八重ちゃんは、
「は、恥ずかし過ぎて逃げちゃったのぉぉぉ……」
あらま。
度胸があるんだかないんだか。
わたしにとっては幸いだったのかもしれないけれど、ね。
ぷるぷると震えながら瞳の端に涙を滲ませて顔をまたまた赤く染める八重ちゃんに、
「かわいいネ」
ぽむん、と肩を叩いてあげるわたし。
「うぅ……いじわる」
ずいぶんと低くなった西陽が公園の木々の影を伸ばし、それがわたしたちを包み込んでいく。
少しだけ温度を下げる空気。
ごちゃまぜだった感情が、ほんのちょっぴりだけどすっきりしたような気がして、わたしは大きく深呼吸をした。
「アドバンテージ、取り返さなくっちゃ」
「長年の蓄積は伊達じゃないから、覚悟してね」
「餌付け効果?」
「今も昔も男性の胃袋をつかむのは1番有効なんだよ~」
「あはっ。それは気合いいれなきゃだ」
「ん~紗智ちゃんが本気出すとなると、怖いなぁ~」
奇妙な関係。
でも、自然な関係。
もし、わたしたちだからこそ成し得た関係なら、胸を張ろう。
うん。
明日は亮平と話をしよう。
今度はごまかさず。
わたしらしく、真っ直ぐに。


