わたしたちは“恋敵”じゃない。
“恋の好敵手(ライバル)”なのだ。
敵対する立場かもしれないけれど、大切にしたい、好きな相手。
いがみ合う必要なんてないし、羨ましくはあっても妬ましく思う必要なんてない。
そんなの“普通はありえない”といわれれば、わたしは真っ向からこういう。
“普通”なんていうのは多数意見なだけでしょう?
少数意見が間違いだなんて、それこそ思い込みの間違いでしょう?
ってね。
「わたし、潔く身を引くとか出来ないから」
もう一度、さっきとは少し違う気持ちで八重ちゃんを抱きしめる。
すると彼女もぎゅっ、と抱きしめ返してきて、
「私だって、この気持ち譲らないよ?」
そう告げてくれた。
綺麗事だといわれてもいい。
傷付けて、傷付いてもいい。
だって、どれも大切だから。
まゆねぇがいったように“後悔が前提の恋”だったとしても。
手を伸ばしもせずに、足元を流れていくのを見過ごして後悔するよりも。
すくい上げて手のひらから溢れて出す後悔の方が、ずっといい。
そう、わたしは思うから。
そして、八重ちゃんもそう思ってくれている。
この胸の圧迫感に、わたしはそう確信するのだった。


