「八重ちゃん!」
「は、はい!?」
「八重ちゃんは亮平が好き?」
肩に手を置き、正面から瞳を見据えて尋ねる。
すると彼女は一瞬大きく目を見開いてから、強い眼差しをわたしに向け、
「うんっ、好き!」
その視線に負けないよう力強い口調で答えた。
だからわたしも揺るぎない気持ちでそれに応える。
「うん。わたしも好き。八重ちゃんに負けないくらい、好き」
それは挑戦状なんかじゃなくて。
相手の気持ちを知ってなお精一杯自分の気持ちも大切にしようという──宣誓だ。
はたから見ればまぎれもない三角関係だろう。
でもだからって“泥沼”だと決まってるわけじゃない。
それは決してイコールなんかじゃない。
ただ“よくそうなる”だけであって、絶対なんかじゃないのだ。
物事は“答えから始まるわけじゃない”。
草にぃがいいたかったのはそういうことなんじゃないだろうか。
悔しくて──
うれしくて──
哀しくて──
愛しくて──
苦しくて──
それでも、あきらめきれない。
どうすればいいかなんてまだわからないけれど、何かをしなければ何もおきない。
でも、わたしたちは目隠しをして歩いているわけじゃないから。
何があるかはわからなくても、しっかりと目を開いているならば、触れることも出来るし避けることも出来る。
突き放すことも、抱きしめることも出来る。
気持ちを告白するということは、目を開き続けるということなのだ。


