【短編】自分ウィキ

「三田村!?ちょ!!重いよ!!」


私のわめきをよそに三田村は緊張した声音で言う。


「赤坂、静かにしろ」


聞こえないか?


緊張が滲む声。


「聞こえないか、って何が?」


「……声だよ」


声?


疑問は聞く前に氷解する。


幽かに声が聞こえた。


掠れて薄ぼんやりとした、儚い女性の声。


一気に汗が吹き出た。恐慌が私を襲う。


「……来た」


三田村が窓を睨む。


私も、三田村の視線を追って、後悔した。


見るんじゃなかった。と。