【短編】自分ウィキ

「…てか重い。早くどいて」


「あ、悪い」


三田村は上体を起こして、やっと私の体は自由になる。


「なぁ。……俺の勝手な推測だけどさ」


三田村が汗を拭いながら言葉を紡ぐ。


見ると目が合った。


「呪いなんて、無いんじゃないか?」


「は?」


「最初に小山田が何か言ってただろ。あれ『好きでした』って言ってた」


「…誰に」


「そりゃ、まあ、二人しかいないんだから決まってるだろ?」


心なしか若干気恥ずかしそうに言う。


「最後の挨拶って奴だろ。それに小山田自身が自殺だ。呪いじゃ殺される筈だ」


「はぁ。じゃあ何で自殺したの?」


「自分ウィキには自分の全てが載ってる。そこに自殺するしかない位にヤバい事が書いてあった。とか」


「ヤバい事って?」


「知らん」