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「へぇ、あいつがセーラの塾の先生だなんてな」



一日の終わりには、カイト先輩と電話で話すのがあたしの日課となっている。

今日もあたしは、電話で先輩に、塾での出来事を話しているところだった。



「五味が塾講師のバイトをしてるって話は聞いたことあったけど……すごい偶然だよな」



カイト先輩の声は少し低音で、甘く、耳に心地いい。

あたしは、いつも電話中、内容よりも先輩の声に聞きほれてしまうことも多く――



「……セーラ、聞いてる?」



そんな風に指摘されてしまうことも、しばしばだった。



「あ、うん、聞いてる!」



慌てて我に返り、電話の向こうの先輩に見えるはずもないのに、あたしはコクコクと首をふった。