「セーラ?」



「……今、顔見られたくないの」



「どうして」



「メイクとか、グチャグチャだし」



カイト先輩は「そんなことか」と笑うと、「ちょっと待ってろ」と言って車に戻り、タオルを持ってきた。



「ほら、これで顔隠してればいいからさ」



そう言ってフワリと頭にかけられたタオルからは――


優しくて温かい、太陽の匂いがした。