その年、初めての雪が降った、朝――。

「アァーッシュー! はやくしろよーっ!」

門の向こうから大声を上げて呼ぶ友人の声に、アシュレイは、慌てて鞄をつかむと、玄関を飛び出した。

アシュレイが、遅刻寸前までなんだかんだともたもたしているのは、いつものことだ。