港町の朝は、早い。

まだ朝霧の消えないうちから、家々では人々が起き出す。

湯気の立つ朝食がテーブルに並ぶのも、早い。

とはいっても、港の閉鎖された冬の朝、町は静かだ。

雪の降る中央通りを、ゆっくりと走る馬車は、誰にもすれ違わない。