【連作】半熟騎士の日記帳 Season2

彼は、バートの返答に、何か言いたげに少し口ごもったが、結局、何も言わずに馬首を左に向ける。

そちらは、ラナフォード邸――アシュレイの生家がある方角だ。

「……後で、挨拶くらいはするさ」

バートは苦り切った声でそう言い、身を乗り出して外の景色を眺め続けている友人の服の背中を引っ張って、座席に引っ張り戻した。