とはいえ。

今回の旅は、近衛騎兵隊の任務ではなかった。

彼らは、つい三日前、数ヵ月ぶりに、王都での務めから、しばしの間ではあるが、解放されたばかりである。

二人は、休暇を取ったその足で、南へと向かう乗合馬車をつかまえ、途中何度かの乗り換えを経て、ここ――港町・シャロンへとやってきていた。