もっとも、彼の口は、そんな状況でも、絶えず動いている。

「なんで、隠してたのさ」

自分だけが相手に気がつかなかったことに、彼は、まだ腹を立てていた。ぶつぶつと、文句を言っている。

「隠してたわけじゃないさ」

イヴンは、御者台の背もたれに体重を預け、アシュレイの手綱さばきを見守っていた。