周りを見ても誰も居なくて、きっとあたしに声をかけたんだろう。 その場に立ち止まっていると、彼はあたしに近付いてきた。 彼の手にはコンビニの袋がぶら下がっている。 「こんなとこで何してんの?」 「家に帰るとこ。」 「近いの?」 「ちょっと遠いかな。」 「じゃあ俺ん家で飲まない?」 「えっ?何で?」 「いいじゃん。」 おかしな人だと思った。 だってあたし達はさっきたまたまぶつかってしまっただけで、それなのにいきなり家で飲もうだなんて。 「いいよ。」 あたしもきっとおかしな人なんだ。