「いるのは分かってんだよ、出てこい!」


取り立て屋は帰りそうにない
このままじゃ近所の人に迷惑だ…


私は恐る恐る、家の前にいる取り立て屋に聞こえる声で言った。


「あの…来る家間違えてませんか?うちはお金なんか借りてません」


「は?間違えてる?」


「うちは水瀬です!名前間違えてませんか?」


「…やっぱり合ってんじゃねーか、ちゃんと借用書があんだぞ?サインもちゃんとある…水瀬尚子」


「…え?」


私は思考が停止した。
水瀬尚子…母の名前だ。


「お…お母さん…?まさか…知らないよね?」


私は母に問いかけた。


"当たり前でしょ"


その言葉を待ってた。


「ごめんなさい…」


頭の中が…
真っ白になった。