「じゃ、俺、こっちだから」 いつの間にか、分かれ道に来ていた。 「あ、うん。ばいばい」 美菜がそう言って手を振ると、弘はにこやかに走り去って行った。 美菜はその背中をしばらく見つめていたが、一つ溜め息をついて家への道を歩き始めた。 二人は自分たちで将来を選びとり、私はまだ何も決まっていないという焦り。 鬱屈した気持ちを抱えながらも、親の言うことをきくしかない自分とは違うという羨望。 弘も晴香も恋や人生を謳歌しているというのに。 この町は退屈で……嫌いだ。 行動を起こせない自分も……